2015年8月18日火曜日

4DXの未来

安城コロナにジュラシックワールドを見てきました。
コロナといったら椅子がガタガタ動く
新システムが導入されているらしいと人に聞いて、
早速行ってみることにしました。

新システムは4DXというもので、
この影響によるものか平日の夜だというのにほぼ満席に近く、
最前列の両脇だけが空いているという状況でした。
仕方なくそこをウェブ予約すると、
レイトショーで値段が安いと思っていたのに一人2400円です。

21:30上映開始のところ5分遅刻して入りましたが、
シアターの中はまだ明るく、
眺めてみるとほとんどが若い男女のグループです。
そこを係員が若者客に注意をして回っているところでした。

「椅子が動きますので、
ヒザの上に飲食物を置かないようにお願いします」
「カバンは足下に置いてください」
などということを注意して回っており、
ジェットコースターの出発前の点検さながらで、
やたらと時間がかかっています。

椅子は普通のシアターよりも大きなマッサージチェアのようです。
他には画面のサイズも標準で、特別変わった設備は見当たりません。
電気が消えて、
4DXの体験版の映像が流されたかと思うと、
突然椅子がガクガク揺れだしました。
風が横から吹くと、
霧が前から吹き出し、場内にストロボのようなものが点滅し、
臭いの出る煙が噴射され、
ほんとうにマッサージチェアかと思うような突起物が背中をぐりぐり指圧します。

たしかにこんなに激しく振り回されて
片手にポップコーンなんかを持っていたとしたら、
場内がポップコーンまみれになるところです。
乾物ならまだしも、
ぼくの隣ではソフトクリームやホットドッグを食べている女子男子がいたので、
椅子がガタガタ揺れる拍子にその中身が抜けて飛んできたりなんかしたら
映画どころじゃなくなります。
係員が時間をかけて、
飲食物をホルダーに入れるか椅子の前に置けと注意するわけです。

体験版が終わると横の若い男子は
「想像したよりも五倍すげー……」
と嘆息していました。

ぼくもこの若い男子に共感しました。
ぼくは「どうせ子供騙しみたいなものでしょ」と思っていたので。
それがですね、この4DXには風と振動に不快感がある。
風は寒く、ガタガタ動く椅子で尻が痛い。
足を組んでボーッと見ていたりなんかして突然ガタガタ動くと、
足ががくっと崩れる。

想像を超えるものや不意を突いてくるものには不快感があります。
作り手が客に不快感を味わせないよう気配りをして作ったものは
刺激が少なくて生ぬるい子供騙し的なものになる、とぼくは思う。
極端にいえば、大量生産は感覚に訴えない集大成で、
芸術は細部まで感覚に訴えかけることを目指している。

感覚に訴えかけるものは万人に受けません。
「生理的に受け付けない」
という言葉があるように、
感覚は人それぞれに異なる印象を抱かせますから。

でも、不快感をすべて取り去ったものが“良いもの”であるとは言えない、
というより不快感を取り去ることは人間の感覚を衰えさせるものなのだ、
とぼくは思う。
椅子にガクガク揺さぶられながら、そう思いました。

しかし4DXでここまでやっておきながら物足りなかったのは、
嗅覚に訴えるものが何も無かったことです。
恐竜の臭いがどんなものか分からないにしても、
恐竜が近付いてきたらスカンク臭が漂ってくるとか、
臭いがあれば尚素晴らしいと思う。

別に不快な臭いだけでなく、
お花畑ではお花の臭いが、
ローストポテトが出されたらじゃがいもの臭いが、
きれいな女優が登場したら香水の臭いがしたりとか、
無限の娯楽の余地がありそうじゃないですか。

人間は触覚も味覚も視覚も聴覚も、
数種類の感覚しか得られないそうです。
味覚では甘味・辛味・酸味・苦味・旨味の5種類しかない。
では美味しく感じさせる要素とはそれだけかというとそうではない、
美味しい食べ物には風味があります。
そして風味とは香りを伴うものです。

人間の味覚がこの5種類に対して、
嗅覚は347種類の受容体があるそうです(ウィキペディアいわく)。
ぼくの中では感覚的に、もっと人間は感知してると思う、千種類以上とか。
嗅覚が人の記憶やイメージを呼び起こすスイッチになるということもよく聞きます。
4DXの未来はこの嗅覚へのアプローチにかかっているとぼくは睨んでいます。

クライマックスのTレックスとハイブリット型恐竜が戦うところは
椅子が激しく動きすぎて、
二匹の恐竜の取っ組み合いがどっちがどっちなのか区別がつかなくなった。

戦いの最中、
椅子は左右上下前後に揺れて、
風は吹いてくるし、
霧がばっと噴射されて3Dメガネに水滴が付くし、
もう映像どころじゃなくなります。
あとは獣臭みたいなものがあれば完璧でした。

2015年8月6日木曜日

サンマルツァーノを煮詰める

サンマルツァーノのトマトソース作りを続けています。
前回は湯むきしたトマトを裏漉しして使ったら、
水分が多いせいか味が薄かったです。

なので今回は湯むきはせずにそのまま鍋に入れて、
水も油も敷かずに火にかけました。
ここでトマトの皮を破かないと水分が出ずに皮が焦げてしまう。
一部皮を破いて火にかけるとそこから水分が出て、
トマトの水分だけで煮詰めることができます。

1キロていどを鍋にかけて、
15分ほど中火でぐつぐつと煮る。
火を止めて、ボールに移し粗熱を取ってから、
ムーランで裏漉しをします。

水分が飛んで皮が取り除かれると1キロあったトマトが、
半分の500gていどに減りました。
湯むきだけした場合だと1キロのものが800gていどだったので、
水分量はこれでだいぶ少なくなりました。

色を比べてもぜんぜん違います。
湯むきだけのソースはピンク色なのに対して、
煮詰めたものは赤くなっています。

問題の味ですが、
甘みとコクが増しました。
イタリア産DOPのサンマルツァーノに比べるとまだ若干味が薄いので、
これはミックスして使おうと思います。

缶詰には缶詰の良さもあるのかもしれません。
時間を置くことで旨みのアミノ酸が出るとか?
ツナ缶は缶詰にされてから半年間寝かせて熟成させた後に出荷されるそうです。
トマトにもそういう効果は出るのか?

ミックスさせることでけっこう美味しいソースができたと思います。
ピザを食べるときあまりトマトソースに意識は向けないと思いますが、
また試してみてください。