2013年6月6日木曜日

間口の狭い言葉

話し合いの場とかで議論の最後に
「まあ人それぞれの考え方があるから」
という感じの言い方で締めくくったりすることがあります。
その言い方は優しい感じもして、
オープンでもありそうです。
実際人とまったく同じ考え方をしていることなんて、
変な話ですから。

「ヒマだったからできた」
という言い方もそれに似ていそうです。
「ヒマな人が哲学を作った」とか、
「娯楽はヒマ潰しが目的だ」とかいうのも、
完全にそうじゃないとは言わさないものがある。
もしかしたら〈ヒマ〉は根本的に大事かもしれない。

他にもそういうタイプの言い方を自分でも
日常的にしていることがある。
「間口の広い言い方」とか、
「万人共通な言い方」と言えばいいのか?
他人に否定されにくい言い方がある。

でもそういう「否定されにくい言い方」をすると、
会話が終わってしまったりします。
あ、でも反対に、
袋を閉じるように、
誰かとの会話を切り上げたいときそんな言い方をすることもある。

最近僕は自分がそういう袋を閉じるような言い方をしていると、
言ってすぐ「あ、ちがう」と心で思って、
自分が言ったことを否定しはじめる言葉に切り替わっています。
「いや、人それぞれにちがう考え方なんかない!」とか、
「哲学も火も料理も、ヒマだから起こせたなんてことはない!」とか、
力が入ってしまうこの頃です。

間口の広い言い方よりも狭いほうに、
万人共通さよりも会話している人同士のエゴに、
コミュニケーションの楽しさと奥行きがあるって思えます。

ケンカになるといけないし、
嫌われたくもないから
否定されにくい言い方をしておこう。
とならず、一歩立ち入った会話ができるときに、
議論で何か決またったりしそうです。

酒は割らずに、腹を割る。
強い効き目があって染みるのがいいです。
「でもたまには水割りでしみじみもいいよね」
……というのはまた間口を広げる言い方ですけど。

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