2016年8月10日水曜日

この人がいるから働きたい

この人がいるから働きたくないとか、
職場の人間関係が辛くて、
という理由で仕事を辞める人がけっこういると思います。

仕事を選ぶときは仕事内容で選ぶんだけど、
仕事を辞めるときは人間関係が理由になる。

自分には人間関係が理由で仕事を辞めた経験はないけど、
色んな職場の人の流れを見ていてそんなふうに思いました。
やりたいと思って選んだ仕事なのに人間関係で辞めるのは本人にとって
良いことなのか、悪いことなのか、仕方がないことなのか?
職場に残る人にとってそういう原因を、
辞めていく人の問題だけにして自分たちの問題にしなくていいのか?
なんてことを考えてます。

ぼくは人間関係での悩みは少ない方だと思っているんですけど、
もしかしたら自分の意識してないところで人に圧迫感を与えて
苦しめたりしてることもあるかもしれない。
または、人間関係で苦しんでいる人がいるのにも関わらず、
自分が余計な悩みを抱えたくないので無意識に敬遠してることも
けっこうある、それはあなた自身で解決してくださいみたいな。

人と接するときに「距離感」という言い方がある。
どこで線引きをするか、ぼくはあんまり干渉をしない方で、
たとえばぼくは二年間シェアハウスの管理人をしていたけど
日本人もヨーロッパ人もラテン系もアジア系の人とも同居してみて、
疲れたという記憶がありません。

これはぼくが人と接するのが上手いとか、
コミュニケーションがしっかり取れてるとかではまったくなく、
むしろその逆で、
相手に干渉しなかったからです。

ホセというがさつなスペイン人が同居人で来ていたとき、
彼はきれい好きではなかったので部屋がどんどん荒れていった。
土足でベッドに寝転ぶし、
畑から泥だらけの足で帰ってきてそのまま部屋に上るという感じで、
日本のルールを無視する人がいても、
ぼくはそういうことを一つも気にせず、
たまに遊びに来たスタッフがひどい有様を見て
やっと注意をしてもらったぐらいです。

たぶんぼくは管理人としてはダメな人で、
グループ内のルールを決めたりすることがめんどくさいと思ってしまいます。
ぼくの対人関係での悩みの少なさは、
相手に干渉しないところから来ていそうです。
別の見方では、対人関係を築こうとしないから悩まないだけとも。

お互いに干渉さえしなければ平和が保たれますよね。
だけどそれは、
周りがどんどん崩落していって自分の足場が崩れるまでの
つかの間の平和だけかもしれない。

そこで話しを戻すと、
職場内の人間関係で辛くなったり苦しくなったりする人は、
こんな二つの理由があるんじゃないか。
一つが周囲の人から仕事のことで干渉されること。
「効率が悪い」「そのやり方は間違ってる」「何で教えたことができないのか」
など、自分の仕事を認められずにできてないことばかり指摘される。
またもう一つが対人関係を築きたいのに築けないこと。
グループから仲間外れにされるような疎外感、孤独感で、
「自分はこの場に合わない、受け入れられない」というような感覚。

もちろん人間関係の悩みは千差万別でしょうけど、
周りから認めてもらって輪に加わってる安心感が人には必要かもしれない。

強者揃いの会社にはそんな安心感はぬるま湯以外の何物でもない
っていうふうにも言えます。
自分の居場所は自分で勝ち取るものだと。
相手に干渉されるような仕事しかできてないんじゃダメだよねと。

会社がオーケストラで、職場がコンサートの舞台だとしたら、
自分の担当のヴァイオリンならヴァイオリン、
ピアノならピアノをさっと演奏して舞台が終わったらささっと帰る。
そこで必要なことは個人の能力に磨きをかけることで、
楽団員同士の円満な関係ではないですよね。

それは分かるんです。
楽団員同士の好き嫌いで自分の演奏を振り回されるのは、
そもそも自分の演奏能力がプロレベルに達していないからだと。
出直してきなさい、と。
だけど、そこで人は簡単に自分が頑張ってきたヴァイオリンを嫌いになる。

反対に、好きでも嫌いでもなく就職した職場で、
尊敬できる先輩が出来てはじめて仕事が好きになる人もいる。

こんなコンセプトのもとで働きたい、よりも、
この人がいるから働きたい、
という理由で選ばれる職場のほうが良い職場だという気がするんですけど、
どう思います?

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