2017年1月21日土曜日

初日の出営業

しばらくブログを書かずにノートに日記を書いていました。
二カ月近く日記だけにしていましたけど、
人に見られることを意識せずに書いているとダラける、
ということが分かりました。

一昨年の十二月、
オーシャン全体で丸一月休みました。
「飲食店で一カ月も休んで大丈夫か?
経営は成り立つのか?」
なんて、一従業員としてぼくは心配になりました。

だけど経済面に関しては、
むしろ十二月の暇な月にスタッフを配置しているほうが
よほど赤字になるという計算でした。
店を開けるとアルバイトも五〜七人は必要です。

なので、ここは冬のヨーロッパの飲食店を見習って、
冬は一カ月解散してみよう、
と実験的な試みをしてみました。

オーシャンのスタッフの九割が時給なので、
一カ月給料無しということになります。
その年の夏頃にはみんなで話し合って決めていたので、
「そんなのは困る!」という問題もありませんでした。
冬は長い休みを取るかわりに夏はしっかり働こうと決めて、
実際にそうなりました。

ぼくは社員雇用なので給料は夏も冬もだいたい同じです。
(夏はちょっと多く、冬はちょっと少ない)
二週間は特別休暇をもらい、二週間は有給を使いました。

結果、丸一月休んでどうかというと、
良い面もあれば悪い面もありました。
良い面は、思いっきり羽を伸ばせること。
悪い面は、休み前には食材をすべてリセットして
休み明けにまたすべて用意し直さないといけないこと。
それから、畑を一カ月休むとその間にピークを迎える野菜が
土から抜かれずにそのまま土に還っていってしまうこと。
無駄な労力がたくさんあったな、
野菜もこれではいたたまれないし、という気持ちになりました。

今回はこの長期休業はやめて、
各個人で長い休みを取りたい人が交代でとるようにしました。
二週間ほど休みをとって海外に行く人もいれば、
三週間ほど徳島県のカフェに丁稚をしにいった人もいて、
ぼくのように同じことを繰り返してる人もいます。

ピッツェリアでは一昨年も行なった“初日の出営業”を
また今年もやりました。
元旦は朝の三時から窯に火を起こして温めて、
火の付いた薪を外に設置したドラム缶に放り込みました。
外に暖をとるために設置したドラム缶は
前日に中国人がやってるスクラップ場から1500円で買ってきたもので、
内側を触ると手が廃油まみれの真っ黒になる代物です。
ここに燃える薪を放り込むと恐ろしい勢いで燃え始めて、
すぐにぼくの背丈の二倍を超える火柱がゴーーーという音を立てるので、
ぼくは「これは火事になるんじゃないか」と怯みました。
数分で(たぶん中の廃油が燃え尽きて)炎も安定してほっとしました。
そのあと六時から店をオープンしました。

思った以上にお客さんで賑わい、
店で用意してた振る舞い用の甘酒はすぐになくなってしまいました。
日本酒も一升瓶がなくなりました。

燃え盛るドラム缶を用意したものの、
とくに暖房必要ないんじゃないかというぐらい風もない穏やかさで、
雲のない晴空です。
朝陽が昇るときに海面が真っピンクに染まった景色は、
間違いなく今まで見た初日の出の中でも最高のものでした。
(人生で3回目ぐらいの初日の出ですけど)

満杯だった店もこのときはからっぽになりました。
ウッドデッキからこの朝陽が昇る瞬間を、
息を飲むような静けさでみんなが見入っていた光景に、
ぼくはマルゲリータを焼きながら「お店開けてよかったー」
と良い新年を迎えれた気がしました。

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