2014年10月6日月曜日

シナモンと筋トレが好きなハンガリー人

ハンガリー人のマークは二週間ウーファーとして来ていました。
彼は物静かなうえに日本語がまったく喋れません。
その代わりに自分の筋肉を使ってオーシャンの畑仕事に貢献してくれました。
金髪で茶色の目をしたハンサムな彼は
アクションスターのような筋肉です。

マークは二二歳でブダペストの軍隊学校に通っており、
マーシャルアーツのトレーニングを六年間続けています。
彼の身長は185センチほどで
これぐらいの身長は田舎の幡豆町でもたまに見かけますけど、
この筋肉は幡豆町では見かけないタイプの筋肉です。

アスリートの引き締まったバネのある筋肉とは違って、
マークの筋肉はコンクリートのように固い筋肉です。
彼と二週間住んで分かったことは彼にとって、
生活は筋トレ、地球はジム、食事はタンパク質の補給、
だということです。

旅行の際、マークが絶対に持って出かける物は、
プロテインドリンク用のプラスチック製のボトルだそうです。
蓋とコップの間に網目状の中蓋があるんですけど、
たとえばプロテインの粉末に水を入れてシェイクをすると
ダマにならずに簡単に混ざり合うようになっています。

ぼくが家に帰るとマークはよくこのボトルをシェイクしていました。
ぼくは冷蔵庫からビールを取り、マークに一本勧めても彼は断ります。
「いや、これがあるからいいよ」
と穏やかなスマイルで。

彼は粉末状のプロテインは使わずに、
オリジナルのプロテインドリンクを作ります。
レシピは牛乳、卵、シナモン、以上です。
これにパンを浸せばフレンチトースト、というレシピです。
この材料をまとめてボトルに入れてシェイクして飲む。
「ナチュラルで、チープでヘルシーだよ」とマーク。
メープルシロップも入れたら美味しそうです。

休日の朝、ぼくが洗濯物を干そうと外に出ると、
マークはガレージにある玉ねぎ干場の棒に掴まり、懸垂をしていました。
また別の日に僕が台所に入ると、
うちには飲料水用のポリタンク(20ℓ)を置いているんですけど、
彼は椅子の上で背筋を伸ばして座り
それを片手で上げ下げする筋トレをしていました。

——なぜ軍隊に入ったの?とぼく。

「高校を卒業してコンピュータプログラムの専門学校に入ったんだけど、
ずっとデスクに座っていることに耐えられなかったんだ」とマーク。

——そりゃ……そうだよね。ぼくは彼の大きな身体を見ながら納得しました。

「それで親に相談したら
『軍隊に入れば生活には困らない』
と言うので軍隊学校に入ることにしたんだ。
だけど学校に入ってはじめて軍隊の給料が安いことを知ってショックをうけたよ。
月に400〜450ユーロぐらい。
ハンガリーで生活はできるけど、
貯金はできないし旅行なんてもってのほかさ」

——今回の日本旅行のお金はどうしたの?
ぼくは裕福な国とはいえない東欧からやってきた大学生の経済状況が気になった。

「今大学三年目で、日本に来る直前まぜイギリスの軍学校に一年いた。
そこで休みを利用してオックスフォードの鶏舎で三ヶ月仕事をしたんだ。
卵を回収したり、運んだり、梱包したり。
月の給料は二一万円ぐらいあった」

マークはオーシャンの滞在を終えて、
愛知県の田原へ別のステイ先に移動しました。
合計一ヶ月を日本で、
その後は香港で英語を教えるのと引き換えに宿代無料の場所で過ごし、
マレーシアでは農家の手伝い、
バリでは竹で家を造る手伝いをして、
ネパールを経由してブダペストに帰るそうです。

つまり、宿代がほとんどかからない旅行です。
現地の仕事の手伝いをしながら旅行をする人たち、
こんな幡豆の田舎にですらたくさん来るんですから、
これからも増えそうです。

マークが教えてくれたカクテルのレシピが美味しかったので教えます。
・アブソルートのバニラウォッカ
・ライムカット
・シナモンパウダー
・炭酸

この三つの香りの組み合わせオススメです。
他にスクリュードライバーにシナモンを入れたのも飲ませてくれて、
これも美味しかったです。
それにしてもマーク、よっぽどシナモンが好きなんだね。

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