2015年3月25日水曜日

アメリカピザ大会の本番前日

ラスベガスに到着したのが23日の午前10時頃でした。
この日15時から〈Pizza Expo〉の事前説明会と、
生地作りを行う時間が与えられます。

ぼくはまず荷物を宿泊先に預けるために、
空港のシャトルバスでラスベガス・ホステルに向かいました。
同乗者がみんなサーカス・サーカスやマリオットなどの豪華なカジノホテルで降りていくなか、
シャトルバスにはぼく一人だけが残されました。

派手な街を抜けてダウンタウンまでいくと
安っぽいうらぶれたモーテルやホステルが並ぶ通りに変わっていきます。
ラスベガス・ホステルはフリモント通りの外れにありました。
この後にたまたま知り合ったラスベガス在住の人からは
「なんだってあんな悪い通りを選んだんだ!」
と言われましたけど、安かったのです。

大会参加者には特別値引きがされたホテルのリストがもらえますけど、
最低でも一泊100ドルかかります。
ラスベガスで“一番悪い”フリモント通りの四人部屋ホステルなら一泊30ドルです。
まあ、夜遊びもしないぼくにはゴロツキに襲われる危険性も少ないでしょう。

ここのホステルの冷蔵庫にカリフォルニアのコストコで買ってきた
水牛のモツァレラをしまい、
残りの足りない材料(バジルのみ!)を買いに外に出ました。
大会ではマルゲリータを作るために、
小麦粉、チーズ、トマト缶、オイル、酵母、塩を用意してきました。

酵母はホシノ天然酵母を持ってきていたので、
サンフランシスコで2日前に仕込んでリュックの手荷物で飛行機に乗りました。
液体は没収されるか心配でしたが、
約60ccと少ない量だったので大丈夫でした。

2時間昼のラスベガスを歩いて、
およそ10人の通行人に訪ねて2件のスーパーマーケットを見つけましたが、
バジルは売っていませんでした。
砂漠の上に作られたラスベガスで歩いて買い物をするということほど
非効率なこともありません。

ぼくは汗まみれになりながら
「もしかしたらラスベガスでは新鮮なバジルが貴重で少ないのかもしれない」
と途端に不安に駆られてきました。

もしバジルが無ければマルゲリータの採点もされません。
ここまで準備してきて「バジルが無くて失格になりました」
なんて結末はさすがに誰にも言えません。

とりあえず3時からの説明会に間に合うようにイベント会場に向かいました。
コンベンションセンターではすでに各ブースの出店準備で
人がごたついています。
ぼくが受付で競技参加者のカードをもらい、
説明会の会場に入ると順番に名前が呼ばれて
参加証を受け取っているところでした。
部門は五つです。

①アメリカ伝統
②パン・アメリカ(フライパンや鍋のパン)
③ノントラディショナル(創作)
④ナポレターナ
⑤グルテンフリー

計150人ほどの参加者です。
簡単なルールの説明が行われてから、
明日本番のための生地作りがはじまります。

作業場はショー会場の幕の裏側に設置されていて、
全員が一斉に小麦粉をこねはじめるので、
作業場の視界が若干白くなる気がしました。
気のせいかもしれないですけど。

材料はすべて自前で用意しなければなりませんが、
道具類は運営側が用意してくれるとのことでぼくは何も持ってきませんでした。
幸運なことにぼくは周りの人に貸してもらいながら作れましたけれど、
ボウルやスケールが無くて待たされている人もいました。

参加者はこう分類ができます。
第一にぼくのような個人参加、
そして第二にチーム参加があります。
チーム参加のほうが多いかもしれません。
圧倒的にチームのほうが効率がよくてはかどっています。
道具類やクーラーボックス、材料も豊富で、
ぼくのように一回切りの材料しか持ってきていないのに比べると安心感が違います。

生地作りをはじめて少し経つと声の大きい女性係員がきて
「冷蔵庫の鍵を締めるからあと5分以内にしまうものはしまって」
といいました。
ぼくの作業はまだ30分はかかりそうだったので、
常温で置いておくのもラスベガスの暑さでは発酵が心配で、
持って帰ることにしました。

まさかピザ生地の入った番重を持ってラスベガスの街を歩いたり
バスに乗ったりするとは思いませんでした。
この日結局バジルは手に入らず、
ぼくは悪夢が頭をよぎってまったく眠れませんでした。





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