2014年12月2日火曜日

大人だって歯医者ではみんな子供でありたい

こないだから〈黒部こども歯科〉に通っています。
ぼくの子供ではありません、
ぼくには子供はいませんから。
ぼく自身が通っています。

西幡豆の国道沿いに〈黒部こども歯科〉があります。
子供専門の歯医者があるなんて今まで知りませんでした。
はじめてこの看板を見たときは
もし自分に子供がいたらこういう歯医者に行かせたいなと思いました。
だって、この屋号からすでに滲み出ていませんか?
絶対にここの先生たちは優しくて、和やかな雰囲気だということが。
屋号だけでこんなに安心感を与えれることってありますか。

たとえば西三河の人たちは
〈デンソー〉とか〈アイシン〉という名前に安心感を抱きます。
初めての海外旅行者はきっと
〈マクドナルド〉とか〈スターバックス〉に安心感を抱きそうですよね。

しかしこれらの屋号イメージは企業の仕事から連想するもので、
“安定した品質”みたいなものが元になっています。
だけど〈黒部こども歯科〉に関しては内情も評判も一切知らない。
にも関わらず、言葉の組み合わせだけで安心感がある。
こどもと歯科。
「この歯医者のスタッフに悪人はいない!」と直感的に思えてしまう。
この少子化社会であえて大人マーケットを切り捨てているのです。
これに思想を感じずにいられますでしょうか。

とは言っても、まさかそこに自分が通うことになるとは。
だってぼくは30歳の大人ですからね、ルール違反じゃないか。
だけど違うんです。
ぼくはスタッフの宮本さんに紹介されたのです。
宮本さんは36歳でぼくよりも大人ですけど、こども歯科に通っています。

「大人でも時間によっては大丈夫なんだよ。
あそこの歯医者はほっとする。
和気あいあいとしててね、ぜんぜん圧迫感がないんだ」

休日の朝、ぼくはすぐに予約の電話をかけました。
「9時40分に来れますか?」
「えーと、今9時25分ですから……す、すぐですね」
「そうですね、もうすぐですけど。大丈夫ですか?」
受付の女性はなかなか押しが強そうです。
うむを言わさない態度にぼくは子供になった気分です。

つい先日は虫歯を削ってそこに詰め物を埋めて治療しました。
ドリルのかん高い音も響かず時間はものの数分です。
先生と助手は作業をしながら、のほほんと世間話をしてます。
「はい終わりましたよー。虫歯二本治しましたからね」
と言われたとき、ぼくはまだこれから治療がはじまるんだ、
と身構えていたところです。

それでぼくは思ったんですけど、
大人だって歯医者ではみんな子供でありたいんじゃないか。
大人だったら痛いことにガマンできるなんていうのが、
理不尽に思えてきました。

接骨院だってぼくは一回も行ったことありませんけど、
絶対に行きたくないです。
ポキッバキッメキッとか大人だったらそんなに骨を鳴らしても良いなんて、
受け入れがたいです。
だけどこども接骨院だったら行ってもいいかなと思えます。
こども耳鼻咽喉科とか、こども内科とか、
とりあえず医者の人たちは患者を皆こどもだと見なすのはどうでしょうか。

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