2013年7月19日金曜日

希望と無謀のギャツビー

「ジェイ!
みんなクズばかりだ。
君にだけ価値がある」

『華麗なるギャツビー』の中で、
僕がいちばん好きだった場面です。
ギャツビーという人は一人の女性がずっと好きで、
もう他人のものになってしまった人だけど、
過去の恋人同士に戻れると信じていた。

「希望を絶対に捨てない」
というフレーズだけ見ると前向きで明るさがある。
でもそれを体現するギャツビーの物語は、
無謀で、明るいどころか暗い。

ギャツビーの生きる希望は
「過去はやり直せる」と信じることです。
失敗とか間違いで過去に失ったものでも、
希望を持ち続けていれば、
必ずやり直すことができる、とギャツビーは思っている。

でも、この物語は反対のことを見せる。
「過去はやり直せない」
希望を持ち続けることは、
自分のわがままにしがみついていることにしかならない。

希望を捨てない人のことを第三者の客として見ていると、
無謀な人にしか見えない。
でも、希望を持っている本人には、
それが無謀だなんて考えはちょっともない。
僕にはそれがよく分かる、
と昨日は映画を見ていて思いました。

何年か前に原作を読んだときはそこまで共感しなかった。
キャラウェイがジェイ(ギャツビー)に言った言葉も、
そこまで響いてこなかった。
今は響いてきます。

希望を持つ人は自分が無謀だなんて思ってないから、
反対する人の意味が分からない。
「うまくいくよ、何で賛成してくれないの?」
という気持ちになる。

そういうとき、
「みんなクズばかりだ。
君にだけ価値がある」
というキャラウェイの言葉が励みになる。

はたから見れば無謀でも、
希望を持っちゃった人は希望を捨てられないから、
そういうとき賛成してくれる人の声は嬉しい、
と昨日思いました。

ギャツビーは緑色の光を掴めなかった。
でも僕もキャラウェイと同じ気持ちになる。
あー映画面白かった。

0 件のコメント:

コメントを投稿