2013年1月25日金曜日

注意したくなる映画

「人はみんな罠にかかっていて、
それから逃れることはできない」

ヒッチコックの『サイコ』を見ました。
主人公と思っていた人物がすぐに死ぬ。
たぶんこれは珍しい型の映画のストーリーです。
物語を作る人は「どうやって主人公に感情移入させるか」
ということを考えながら書くと僕は思ってます。

主人公のいない物語はあんまり見当たらない。
主人公に共感できるからこそ物語に引き込まれて、
泣いたり笑えたりできる。
そういう共感がないとずっと醒めたまま映画を見ることになる。

知らない人の写真アルバムを見てもおもしろくないように、
次々に中心人物が変わる物語は没頭しにくいと思う。
でも『サイコ』は共感ではなくて、
登場人物たちに「気をつけて!」と注意したくなって、
いつのまにか物語に引き込まれる。

「気をつけて!」と言いたくなる場面がとにかく多い。
これが主人公かと思っているとすぐ死ぬし、
悪役にスポットが当てられている。
だけど、その悪役が出てくるまでの前置きも長い。

つまらなくなりそうな要素がたくさんあるにも関わらず、
それ以上に「次にどうなるか分からない」
というサスペンスを常に漂わせている。
爪を切ったりアイロンをかけたりするのも忘れる
「気をつけて!」感を味わえます。

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