2013年1月9日水曜日

あったかい大根おろし

大根おろしは熱を通すとまたうまうくなる。

数年前に中日新聞で紹介されていた
江戸前料理特集(だったか?)の大根おろしパスタを見て、
作ってみたらこれがうまかったので、
たまにやるようになりました。

パスタのゆで汁と大根おろしをフライパンに投入して、
しょう油とみりんを加えたところに麺を入れて、
火を通して食べるパスタです。
つまりあったかい大根おろしです。

ゆで汁と大根おろしが合わさるので、
けっこう液体状になります。
皿の下にかるく〈つゆ状〉になっている。
そこにフォークでパスタをくるくる巻きとりもちあげると、
ポタポタと水分がよく落ちる。
これがこのパスタのミソの部分です。
つゆ状に溶けたかと思われていた大根おろしが
3重の働きをしている。

まず、つゆに漂う大根の繊維が麺に引っかかるので、
皿上のどの麺からも平等に大根おろしが味わえる。
冷たい大根おろしは麺を食べるときにとりわけるため、
大根おろしがあるところとないところが出てくる。
ところが、このあったかい大根おろしは全体にいきわたる。

ただこれは次の働きの前提です。
これだけなら大根おろしが薄くなるだけじゃないか、
ということになります。
でもそうじゃない。
パスタにからんだ大根おろしがつゆを含んでいた。
わかりますでしょう、あの大根おろしの吸水率を。

たとえば、秋刀魚など焼魚を食べるとき、
大根おろしの横にしょう油スポットを作ろうと思う。
でも、少し目を離すとすべて大根おろしが吸い込んで、
やたらとまっ黒になって辛い大根おろしになってしまう。

しかしこの大根おろしパスタの場合そうはいきません。
全体の調味料がほどよく馴染んだつゆとなっているので、
麺に色んなうま味をからめている。
それがポタポタと垂れていたんです。

これだけでも大根おろしの貢献度はけっこうありますけど、
これだけじゃありません。
大根は熱を加えると甘味がでる。
大根おろしだっておなじことだったんです。

昨日、ぼくは寿がきやのみそ煮込みうどんをゆでるときに、
いっしょに大根おろしを煮てみました。
麺をすすったときパスタとおなじ効果がありました。
つゆが引っかかってきて、
全体をおろし基調で楽しめる。
この上にさらに冷たい大根おろしものせました。
上から下からたたみかけるような、
2ハーモニーの大根おろし、これもまたいいです。

あったかい大根おろし、
フロンティアが広がってます。

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