ヘビ屋のお店を客観的にレポートする。
これは課題としては割と簡単なテーマなほうでしょう。
だって「ヘビ屋ってまずなんだ?」ってとこじゃないですか。
いくらでも不気味ものが見つかりそうですからね。
でもこれはぼくが勝手に、
というかこの店を知ってる人みんなが「ヘビ屋」と呼んでいるのであって、
正確に言えばヘビ屋じゃありません。
だからといってこのお店は「漢方薬屋」です、
とも言えません。
マムシにハブの黒焼きや粉末、
スッポンの燻製、
麝香、
熊胆、
猿脳、
こういったものが商品です。
これらは名称からして漢方薬っぽいですけど、
でも「薬」とはいえないようです。
これらは滋養強壮、疲労回復、精力増大が目的になるのですけど、
実際服用してどれだけ変化があるのか人それぞれなので、
薬として公式に謳うことができない。
まさに現代のグレーゾーン。
グレーゾーンの話しはだいたいおもしろいです。
でもおもしろいなんて他人事のように言えますけど、
苦労して手に入れた材料なのに、
薬として認められないなんてなんだか損というか、
かなしいですね。
ジャングルに分け入って死ぬ思いでとってきたのに、
「これほんとに効き目あるの~?」
なんてエロじじいにケチつけられても、
「おめえの胃袋に腕突っ込んで胆嚢でも引っこ抜いてやろか?」
とは言えません。
「どこどこに効くっていうセリフを私らの稼業は言えないんですけど・・・・」
直接効き目があるという言い方ではなく、
「黒焼きはこういう人に・・・・(チラ)、
粉末はこういう人に・・・・(チラ)」
というチラ見せで暗示させるようです。
ぼくが質問を投げかけたのは店を一通り見終わったときです。
「もしぼくがヘビを持ってきたら買ってくれたりするんですか?」
店主のメガネがきらりと光りました。