「マムシ、試した?」という質問がありました。
あれだけヘビ屋のことを書いたのに、
自分がどうしたかは書いていなかったです。
というより、何も書くことがありませんでした、恥ずかしながら。
「ぼくはマムシを使わなかった」ので。
インタビューは体当たりで、
相手と対等に立つために、
やれることはできるかぎりやって、
質問する前に、知ることができることは調べておく。
それはインタビュアーとしては最低限の準備でしょう。
しかしぼくはマムシを使わなかった。
「怖がってやがるな」と思いの方、
ずばりその通りなんです。
ぼくはできるかぎり「知ることができることは調べておく」ことを実践して、
経験者から直の聞き取りをしました。
その経験者とはオーシャンのタカシとヤーマンです。
タカシは知り合いからマムシの焼酎漬けをもらって。
みんなで飲んでみよっかー、という話しをしていました。
翌日の朝お店に行くと、
タカシとヤーマンはこれから葬式みたいな顔をして言いました。
「死ぬかと思った」
彼らは昨夜二人でマムシ焼酎を試してみたところ、
1口ていどしか飲んでいないにもかかわらず、
とたんに心臓の動悸が高まると、
からだ中が燃えるように熱くなって恐怖感があった、
と二人揃って言っています。
二人とも酒はふだんから飲んでいる。
しかしこのマムシ焼酎が食道を煮えたぎるように通ると、
アルコールとはちがうものがからだに影響して、
数時間のあいだ恐怖感を共にしたらしい。
<酒だけじゃ起こらない反応、未体験ZONE
隠されたパワーをからだに流す太古のSONG>
そういうことを丁度ぼくは聞いていたので、
黒焼きなんか食ったらえらいことになるぞ、
と思っていたのです。
しかしハイデガーはこう言っています。
「この『死へ臨む不安』を『死亡の怖れ』と混同してはならない」
終末に挑む人はどんなことにも開かれているけど、
終末を見ようとしない人の心は閉じられている。
そうだ!ぼくはなんだって受け入れるぞ。
黒焼き、また食べたら報告します。
・・・・黒焼きか。
はじめは粉末にしとこっかな。ぶつぶつ。