2013年3月15日金曜日

アーリージャパニーズストーリー

ある女の子がいました。
女の子は両親とおばあちゃんと弟と一緒に住んでいて、
絵に描いたように仲の良い家族です。
ショッピングとなれば一緒に出かけて、
晩ご飯はいつもみんなが揃ってから一緒に食べる。

女の子が中学生から高校生にかけての時期、
体調に異変がありました。
風邪や熱があるわけではないのに、
体がだるくなったり
突然気分が悪くなって嘔吐するようになりました。

はじめ女の子は親や学校の保健所にいる先生に相談しました。
でもはっきりした原因が分からなかったので、
いつからか女の子はその体調の悪さも生活の一部になりました。
「年頃の女の子の精神的なものかな」というふうに考えて、
誰かに相談することもなくなったそうです。

ところが女の子が大学生になると、
その突然やってくる体調の悪さがピタリとなくなりました。
突然頭がぼんやりしてくることも、
関節が痛くなることもなくなった。

長いトンネルに入ったうちに、
暗いことが当たり前になっていた彼女にとって、
くぐり抜けたときの気分は信じられないものでした。
人にとってこの明るさが日常のものだったことと、
自分がとんでもなくヒドイ状態にあったことを知って、
嬉しいやら驚きでいっぱいになりました。

でもすぐに、女の子のその明るい気持ちを
暗い気持ちに変える出来事が起きました。
大学で一人暮らしをはじめた途端彼女の体調が良くなって、
もう一度病院で検査を受けると、
これまでの原因はアレルギー反応だったことが分かりました。

彼女は家に帰って、
その結果を家族に話しました。
両親とおばあちゃんに話しをするとき、
彼女は涙が止まらなかったと言いました。

昔からおばあちゃんは料理上手で、
共働きだった両親を支えていたのが
おばあちゃんの手料理でした。
その中でも女の子は肉じゃがが大好きで、
おばあちゃんはそれに応えて
どの料理よりもたくさん彼女のために肉じゃがを作ってあげました。

女の子のアレルギーは澱粉だったのです。
おばあちゃんにお願いして作ってもらっていた料理が原因で、
彼女の体調が悪くなっていたことを告げることになってしまう。
おばあちゃんに責任を感じさせてしまうことを考えると
彼女はたまらなく泣けてきてしまったのです。

もちろん彼女が心配することはありませんでした。
家族の仲は一緒に過ごす時間が長くなればなるほど、
良い家族になってるように見えます。
おばあちゃんは今も彼女においしい手料理を作ってあげてます。
それも新しい料理を習いはじめて。

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