昨日は西尾の服屋さんに行ってきました。
よく行くお店なんですけどこの冬ははじめてで、
久しぶりに行くと、
欲しい冬物のジャケットが色々ありました。
しかも今はセール期間中で、
あれは30%オフこれは40%オフと、
買うなら今しかないという雰囲気になりました。
そこで試着してみようと思ったときに僕ははっと気付きました。
「今日はタコのトレーナーを着ている」
僕は上着のウィンドブレーカーの中に、
タコのトレーナーを着ていました。
グレーの生地で、
青い一匹の大きなタコが胸の真ん中にプリントされているものです。
このタコのトレーナーはこないだのクリスマスに、
母親からプレゼントでもらったものです。
このとき僕が包み紙を破ってこのタコのプリントを確認したとき、
「あっトレーナーだー、これは寝巻き?」と僕が聞くと、
「違うわよ、普段着よ」と、
寝巻きにするにはさももったいないという口調で母親は言いました。
僕は「ありがとう、この裏地、起毛で気持ちいいねー」と、
感謝して受け取りました。
実際、裏地が起毛で気持ちいいんです。
「しかしタコって」と僕は思いました。
だから僕がこのタコのトレーナーを普段着では恥ずかしくて着れず、
寝巻きにしかしていないことは母親を悲しませる可能性があるので、
あまり大きな声では言えません。
昨日もちょっと出かけるつもりで、
寝巻きに上着を羽織っただけの格好でした。
服屋さんに行く予定もなかったんですけど、
近くまで来たからと思って寄りました。
このときすでに自分がタコのトレーナーを着ていることは忘れています。
それでいざ店長に
「気になるなら着てみてよー」
と言われて僕ははっと思い出した、という次第です。
上着を脱げば「え、タコ?」ときっと内心思われるだろうけど、
僕は自分がなぜタコのトレーナーを着ているのか、
そのくだりを説明をするのは言い訳がましくてイヤです。
だけど何を言わず、お互いタコのトレーナーにも触れずにお店を去ることで、
ハイセンスな店長の無意識下に、
僕=タコというイメージを刷り込んでしまうことになりそうで戸惑いました。
「おれは料理を仕事にしているからタコのトレーナーは不自然じゃない」
「もしかしたらこのタコのイメージは斬新かもしれない」
「おれは見栄えばっかり気にしてるけど、大事なのは人間性だ」
と様々な自分を肯定する考えも湧きました。
だけど結局、
「もし着たら絶対買っちゃうので、
お金を持ってまた来ます!」
と言って去りました。
僕はその決断で正解だったと思います。
こういう人に会わないからいいやと思ってるときにこそ人と会うものです。
夜、誰もいないはずのオーシャンに物を取りに行くと、
J子店長が仕込みをしていました。
僕はもうそのとき上着を置いてトレーナーだけだったんですけど、
いきなり、
「どうしたのそのトレーナー?
そのトレーナー着て日間賀島に行けばいいじゃん」
と嘲笑を受けました。
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